top of page

【5.学科学習第2段階】

 5.1 Webサイト、クラウドストレージの活用

   参考書には、練習問題が載っています。少しづつですが、漸く問題の内容が掴めてきて

  いました。そのころでしょうか、Webサイトで気象予報士受験に関するブログか何かを扱

  っているところはないか検索していたところ、「気象予報士受験者応援団」(現在の「め

  ざてん」です)なるサイトに行き当たり、内容を拝見しているうちに、「ん~やはり受験

  してみるかなぁ」という気持ちが芽生えてきたのです。


   そのサイトで、過去問、模範解答、解説、その他記憶するための「語呂合わせ呪文」や

  「受験時の便利グッズ」、「合格体験記」、「受験生の掲示板」、「気象予報士からのア

  ドバイス」などなど豊富な内容で、受験に対するモチベーションが大いにアップしまし

  た。

 

   通常、観測技術、気象学の進歩、法令の改定などに鑑み過去問は数回前までが気象業務

  センタなどでオフィシャルに入手できますが、私は、そのような条件を納得の上、第31

  回まで遡って収集しました。

   過去問が豊富に揃ったことにより、外出先でもiPadやNotePCから手軽にアクセス出来

  るように無料のクラウドストレージを活用する事にしました。今でも主に利用しているの

  が Microsoft の [one drive] です。5GBまで無料ですので今のところこれで用は足りていま

  すが、足りなくなったら [Google drive]、[iCloud drive]、[Drop Box] など様々な無料のスト

  レージがありますので当分は大丈夫と思っています。

 5.2 第2段階の参考書

   膨大な量の過去問が収集できましたので、先ずは学科の一般と専門の問題をパラパラと

  斜め読みし始めました。その中で気象現象のスケールの図で穴埋めになっている問題と、

  雨滴の落下と体積増加に関する問題があり、各々をWebで同様の内容がないか探していた

  ところ、なんと!全く同じ図が載っている参考書を発見したのです。

 

   今思えば有名な図なので驚く事はないのですが、その時は、「受験問題と同じ図を掲載

  している参考書は貴重だ」という事で早速購入しました。

     出題された図        一般気象学         完全攻略ガイド

   それが、「気象予報士完全攻略ガイド」と「一般気象学」です。
  上図のとおり、ソックリなんです。

 

  ③ 一般気象学                (東京大学出版会/小倉義光著)
  ④​ 気象予報士教科書 気象予報士 完全攻略ガイド (ヒューマンアカデミー)

   後々、「一般気象学」は、受験生のバイブル的存在であることを知りました。完全攻略

  ガイドの一般分野については、この一般気象学をベースに作成されているようで、使って

  いる図表もほぼ同じものが掲載されています。

   「一般気象学」は、どちらかと言うとアカデミックな書き方になっていて難解な部分も

  あるのですが、完全攻略ガイドがそれをフォローしてくれました。理系出身とはいえ、錆

  びついたリタイア爺さんには「一般気象学」の数式展開は、辛いものがあって、理解する

  ために数Ⅱ、数Ⅲの高校参考書を購入しました。どうも昔から、展開途中を納得しないと

  気持ち悪いので展開過程を単位も含めて追いかけてみました。

 

   展開結果だけを活用しても問題ないので高校参考書は必要なかったかもしれません。
 

 5.3 自分ノートの大改修

   新しい参考書も購入し、Webサイトからかなりの量の過去問も頂戴して勉強に必要な情

  報が充実してきました。過去問に併せて各問題の解説内容も手元にDLしていつでも見れる

  状態にしておきました。

 

   新しい環境で、勉強を進めてゆくとどうしても追記や変更、間違った内容の修正、はた

  またわかり易くするための章立ての組み直し等が必要になります。そうなるとB5ノートで

  は限界が見えてきたのでした。そこで100円ショップへ行ってウロウロして考えた結論

  が、ルーズリーフという選択です。

 

   26穴のB5版ルーズリーフと、そのフォルダを購入し、今までB5ノートに書き綴った内

  容をわかり易い(というか記憶しやすい)ように入れ替えたり、新しい参考書から書き加

  えたりしながら全体を書き直していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          写真                   写真

   とても地道な作業で気の遠くなる話なのですが、今思えばこれが私の錆びた脳みそに記

  憶させる最良の手段だったのかもしれません。

   先ずはルーズリーフフォルダを2つ作って【一般知識】と【専門知識】に分けて、章立

  ても新しい参考書や一般気象学を参考にしながら修正を加えてゆきました。

   以下に、この2つのフォルダの目次を参考に示します。カテゴリがおかしいところがあ

  るかもしれませんが、これが私にとって一番わかり易い並びだったのです。

【一般知識】

第1章 熱力学
  1 理想気体の状態方程式
  2 静力学平衡
  3 熱力学第一法則
    3.1 乾燥断熱減率
    3.2 湿潤断熱減率
    3.3 温位と相当温位
    3.4 相変化
  4 大気中の水分
    4.1 湿度
    4.2 混合比と比湿
    4.3 湿潤空気の状態方程式
  5 エマグラム解析
    5.1 静的安定性(断熱減率による判定)
    5.2 静的安定性(CAPEとCIN比較)
    5.3 静的安定性(SSIによる判定)
    5.4 対流不安定
    5.5 温位による大気状態解析
    5.6 逆転層
    5.7 エマグラムと気塊状態の関係
    5.8 気柱の考え方

  6 計算例
    6.1 断熱減率と混合比
    6.2 密閉容器
    6.3 気層

第2章 大気の力学
  1 ニュートン力学
    1.1 物体の円運動
    1.2 角運動量保存則
  2 コリオリの力
  3 地衡風
    3.1 気圧傾度力
    3.2 地衡風の風速
    3.3 地衡風の風向判定
    3.4 等温位面と高度、風向の関係
    3.5 等圧面と平均気温の関係
  4 傾度風
  5 旋衡風
  6 温度風
  7 摩擦の影響
  8 大気の大循環
    8.1 熱の南北輸送
    8.2 水蒸気の輸送
    8.3 南北循環
    8.4 東西循環
    8.5 傾圧不安定波による熱の輸送
    8.6 運動量の輸送
    8.7 水による熱の上向き輸送
  9 収束・発散と渦度
    9.1 収束・発散
    9.2 相対渦度
    9.3 絶対渦度
    9.4 風の強さと渦度
    9.5 曲率渦度、シアー渦度
    9.6 地衡渦度
    9.7 台風と絶対渦度

 10 計算例

    10.1 地衡風と温度移流

    10.2 風の流出入

    10.3 風の収束と発散

    10.4 渦度の計算

    10.5 円運動

第3章 大気構造

  1 地球大気の構造と成分

    1.1 対流圏

    1.2 成層圏

    1.3 中間圏

    1.4 熱圏

    1.5 オゾン層とオゾンホール

    1.6 電離層

  2 大気境界層と対流圏界面

  3 原始地球の大気

  4 太陽系の惑星

  5 地球の組成

    5.1 固体部分の組成

    5.2 大気の組成

    5.3 地球の水と二酸化炭素

  6 中層大気の大循環

  7 成層圏と突然昇温

  8 計算例

第4章 大気放射
  1 入射する太陽放射
    1.1 放射強度
    1.2 地表への入射エネルギー
    1.3 自転と公転
    1.4 極と赤道
  2 黒体放射
  3 放射平衡温度
  4 地球の熱収支
  5 大気による吸収
  6 温室効果
  7 散乱
  8 計算例
    8.1 太陽の温度(1)
    8.2 太陽の温度(2)
    8.3 アルベドと惑星温度
    8.4 地球と仮想惑星
    8.5 惑星の温度
    8.6 地球の温度(ステファン・ボルツマンの法則)
    8.7 太陽の温度(ウィーンの法則)
    8.8 地球の温度(温室効果)
    8.9 惑星の受ける太陽エネルギー
    8.10 緯度と太陽エネルギー強度

第5章 降水過程
  1 水滴の生成
  2 エーロゾルと凝結核
  3 凝結過程
  4 併合過程
  5 氷晶の生成
    5.1 氷晶核
    5.2 暖かい雨と冷たい雨
  6 氷粒子の成長
    6.1 水蒸気の昇華凝結
    6.2 過冷却雲粒の補足
    6.3 凝集
    6.4 降水の型
    6.5 太陽の笠
  7 霧
  8 計算例
    8.1 霧と気温
    8.2 降雨と気温
    8.3 雨粒の落下速度
    8.4 可降水量
    8.5 降水量の見積もり

第6章 気象現象
  類似内容が多いため、専門科目の「天気予

  報」にまとめて記載した。

 

第7章 気候変動
  1 地球温暖化
    1.1 温室効果
    1.2 温室効果ガス
    1.3 気温変化
    1.4 温暖化の影響
    1.5 成層圏の突然昇温
    1.6 エルニーニョ、湧昇

 

尚、関連法令は、別ノートに独立にまとめた。

【専門知識】


第1章 気象観測
  1 地上観測
    1.1 気温
    1.2 湿度
    1.3 気圧
    1.4 風向・風速
    1.5 降水
    1.6 日射
    1.7 雲量
    1.8 雲形
    1.9 天気・視程
    1.10 雲の特徴
  2 アメダス観測
  3 海上気象観測
  4 高層気象観測
    4.1 ラジオゾンデ
    4.2 ウィンドプロファイラ
  5 気象レーダー観測
    5.1 気象レーダー
    5.2 気象ドップラーレーダー
  6 気象衛星観測
    6.1 静止衛星
    6.2 極軌道衛星
    6.3 気象衛星画像
    6.4 雲画像解析
    6.5 雲の視覚的特徴
    6.6 マイクロ波の利用

第2章 数値予報

  1 基本要素
  2 基本5則
  3 数値予報モデル
  4 数値予報の手順
    4.1 ブロック図
    4.2 客観解析
    4.3 客観解析の手法
    4.4 解析の流れ
    4.5 予測値
    4.6 天気予報ガイダンス
  5 仮想空間

 

第3章 数値予報の応用
  1 数値予報プロダクト
  2 降水短時間予報
  3 ナウキャスト
    3.1 降水ナウキャスト
    3.2 雷ナウキャスト
    3.3 竜巻ナウキャスト
  4 気象庁発表天気図

第4章 天気予報
  1 現象のスケール
  2 傾圧不安定
  3 低気圧
    3.1 温帯低気圧
    3.2 寒冷低気圧
    3.3 極低気圧
  4 台風
    4.1 概要
    4.2 構造
    4.3 進路
    4.4 接近と上陸
    4.5 気象庁の台風情報
  5 マクロスケール気象、大規模振動
    5.1 マクロスケール気象
    5.2 大規模振動
    5.3 ジェット気流
  6 メソスケール気象
    6.1 マルチセル型ストーム
    6.2 スーパーセル型ストーム
    6.3 降水セル(積乱雲)

    6.4 ダウンバーストとガストフロント
    6.5 竜巻
    6.6 スコールライン
    6.7 局地風
    6.8 山岳波
    6.9 各種現象
    6.10 冬季日本海の気象
  7 高気圧
    7.1 太平洋高気圧
    7.2 シベリア高気圧
    7.3 オホーツク海高気圧
    7.4 チベット高気圧
  8 気団
  9 前線
    9.1 梅雨前線
    9.2 前線解析

第5章 確率予報・長期予報
  1 確率予報
    1.1 降水確率予報
    1.2 コスト・ロスモデル
  2 アンサンブル予報
  3 長期予報
    3.1 循環指数
    3.2 東西指数
    3.3 極渦指数
    3.4 ブロッキングハイ
    3.5 アノマリー相関
    3.6 テレコネクション
    3.7 西谷型、東谷型
    3.8 500hPa高度偏差図
    3.9 やませ
  4 中長期予報の定義
    4.1 週間天気予報
    4.2 長期予報

第6章 警報、注意報
  1 分類
    1.1 警報、注意報の種類
    1.2 大雨警報
    1.3 洪水警報
    1.4 大雨、洪水警報の判定例
    1.5 その他の警報、注意報
    1.6 発表に関する事項
  2 気象情報
    2.1 記録的短時間大雨情報
    2.2 異常天候早期警戒情報
    2.3 土砂災害警戒情報
    2.4 高温注意情報
    2.5 竜巻注意情報
    2.6 高温・低温注意情報
  3 気象災害一覧

 

第7章 精度評価
  1 カテゴリ予報
  2 確率予報
  3 量的予報
  4 用語
  5 問題例

 5.4 関連法令について

 

   一般知識には、ご存知のとおり法令も含まれますので、当該のサイトから法令

  をDLして印刷しました。量が半端ないのでA4・1枚に2ページを横に印刷してそ

  れを折ってA5サイズにして綴じた即席の法令本を作りました。

  

   作成した簡易法令集は、
   ・気象業務法
   ・気象業務法施行規則
   ・災害対策基本法
   ・消防法
   ・水防法
   ・気象庁予報警報規定
   ・気象庁予報警報規定別表
   ・気象測器検定規定

 

 

                           写真

   気象業務法、災害対策基本法、消防法、水防法の「第一条」は、丸暗記しまし

  た。それは、各法律の主旨の部分で大事であることはもとより、過去問で法令文

  章がそのまま出題されて穴埋め問題になっていたからです。

 

   その他の部分について、これらの法令を頭に刻み込むには、ただこれらを読ん

  でいても眠くなるだけで効果的ではありませんでした。独特の用語が使用されて

  いることもありますが、何と言っても文章の中で沢山の引用が使われていること

  が理解と記憶を妨げます。

 

   (例)
     気象業務法 第十二条
     気象庁長官は、第六条第四項、第七条第二項又は第八条の規定により報告

     を行うものに対し、・・・​

   そこで私は、上記の「気象業務法」~「水防法」まで自分の言葉で、そして引

  用文は元の文章を持ってきて書き写しを敢行しました。まるで写経のようで忍耐

  の必要な作業ですが、これでだいぶ頭に刻み込まれ、後に実施した過去問解答で

  法令を間違える事はありませんでした。

       写真                      写真

   しかし、これだけやったのですが、48回の一般知識で一問だけ落とした問題

  がなんと法令の問題。これは悔しかったです。その時の問題が以下です。

   ​  気象業務法における⽤語の定義に関する下記の⽂①〜⑤の中から,誤っているものを⼀つ選べ。

       ① 「気象」とは,⼤気(電離層を除く。)の諸現象をいう。
       ② 「⽔象」とは,気象⼜は地震に密接に関連する陸⽔及び海洋の諸現象をいう。
       ③ 「観測」とは,⾃然科学的⽅法による現象の観察及び測定をいう。
       ④ 「予報」とは,観測の成果に基く現象の予測をいう。
       ⑤ 「警報」とは,重⼤な災害の起るおそれのある旨を警告して⾏う予報をいう。

   なんと、全部正しく思えてしまって、悩みに悩んだ末に適当に選んだら案の定

  間違っていました。正解は、④。

    ④ 「予報」とは,観測の成果に基く現象の予測をいう。

     正しくは、

    ④ 「予報」とは,観測の成果に基く現象の予想の発表をいう。

   この問題文は、④を除き気象業務法の文章そのものが出題されています。間違

  ってはいけませんね。

 5.5 学科過去問への挑戦

 

   自分ノートの大改修は、2016年12月ころから取り掛かりましたが、結構な時間がか

  かり、数ヶ月が経過しました。しかし書き綴ってゆくうちに次第に内容が記憶に残るように

  なり、蓄積した学科の過去問をやってみることにしました。

   pdfでダウンロードしてありますので、それを 2 in 1 で印刷して、解答用紙は作らず、問題

  用紙に直接解答する(○☓をつけてゆく)スタイルで臨みました。印刷し、解答したものは、

  最終的に下記のように結構な量になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    写真


   31回~47回までの一般と専門ですので 全18回(38回の再試験含む)の2倍で

  36学科問題。1学科問題は、問15まであるので、問の数で36x15=540問。

  これを初めての受験(第48回、2017年8月)までに3周こなしました。

 

   間違えた問題は、自分ノートに戻って確認し、記載が無ければ追記してゆきます。3周目

  には、1学科問題15問を45~50分で解答できるようになり、平均で12~13問正解

  できるレベルまで持ってゆきました。

   このレベルで、冒頭に書きましたように第48回の試験で学科一般(14/15)、学科

  専門(11/15)で無事に部分合格を果たすことができました。しかし、あれだけやって

  も専門は危い状況でした。
 

bottom of page